text= 大我さやか(OpenA ltd.)
北九州市小倉南区にある城野団地。築50年を超える団地は、今転機を迎えています。URの団地としては約3年ぶりとなる、大リノベーションプロジェクトの模様をお伝えします。


懐かしいテラスハウスが今も残る団地。東には足立山を望む自然を感じるロケーション。

「リノベーションまちづくり」に沸く、北九州市小倉の街。

この「団地R不動産」が誕生するきっかけとなったリノベーションプロジェクトである「観月橋団地プロジェクト」。京都にある築50年超の団地を再生したあの計画から早3年が経とうとしています。あれからMUJI×URリノベーションプロジェクトカスタマイズURなど、数多くの団地再生プロジェクトが生まれ、ここ数年で団地の住まいは多様化のときを迎えつつあります。

そんな中、九州初となるURのリノベーションプロジェクトの舞台に選ばれたのが、小倉駅から車で15分程のところにあるこの城野団地。団地R不動産を運営するOpen Aが、北九州が地元のらいおん建築事務所、北九州家守舎とチームを組んで、このプロジェクトに取り組んでいます。


上段は魚町銀天街にあるクリエイティブの拠点・ポポラート三番街(左)と、1階にある裏路地のようなユニークなショップが並ぶビッコロ三番街(右)。下段は、欲しい暮らしを手づくりする店「はたらこくらす」(左)と、自分の部屋を自由にDIYできるシェアハウスcoclass(右)。

ここで、チームメンバーの紹介を兼ねて、城野団地のある北九州市小倉を簡単に紹介します。

小倉駅前の魚町銀天街は、日本で初めてアーケードができたことで有名な商店街。そんな小倉の街がある北九州市ですが、近年は商店街に空き家や空き店舗が目立ち始めていました。そこで、北九州家守舎やらいおん建築事務所のメンバーが中心となり、「リノベーションによるまちづくり」を開始、それが話題を呼んでいるのです。

彼らが行うまちづくりとは、空きビルと使う人をマッチングして、街に魅力的なお店や人を増やしていくこと。街の不動産を活用して人やコンテンツを結びつける、まさに街のハブのような存在です。その活動によってリノベーションされた商店街の空きビルには、地元クリエイターや、ショップ・飲食店などを始める若者が集まり、商店街では地元アーティストが出店する見本市やフリマが定期的に開かれるようになるなど、クリエイティブな文化がこの街に芽生えつつあるのです。

欲しい暮らしを、団地で見つけよう。

塗替えられた外壁に配置された、住棟番号の大きなサインが特徴的。

庭付きのテラスハウスや階段室型住棟など、昭和の住環境が残る団地。そんな城野団地は16棟、全268戸からなる小さな団地です。

周辺は「ゼロカーボン先進地区」として、省エネ住宅建設やエネルギー自給を始めとして、街全体を低炭素社会のモデル地区とするべく再開発が進められていて、エリアが大きく生まれ変わろうとしています。

団地は駅前の商業エリアからは少し離れますが、それでも魚町からはバスで約20分。団地から徒歩4分の「三郎丸二丁目」バス停には通勤時間帯なら10分に1本の間隔で小倉駅方面へのバスが出ています。車なら駅まで15分位。市内はフラットなので、自転車通勤もありです。また、JR日豊本線の城野駅からも徒歩11分と歩けますが、どちらかというとバスや自転車の方が街までは便利な立地です。

そんな街に近い団地は、街で働く人たちが住むのにもってこい。家を買うにはちょっと早いというカップルや、子育て夫婦にも最適です。心地のよい木陰をつくる緑、風通しと日当たりの良い部屋、のんびりとした空気感。団地は、街とは違う魅力で溢れています。
団地に住んで、街で働く。新しい暮らしの場として、団地の価値を再発見してみるのもいいかもしれません。

できるだけ残すリノベーション。

昭和30年代の内装が残る改修前の住戸。このままでも魅力的な雰囲気です。

階段室型住棟、テラスハウス、そして2階建ての片廊下式住棟という、豊かな住戸バリエーションで構成された城野団地。そのバリエーションの多さを生かして、一人暮らしから子育てファミリーまで住むことができる、7つのプランを提案しました。設計は、らいおん建築事務所とOpen A。

それぞれ個性あるプランですが、実は共通したテーマがあるのです。それは「できるだけ残す」ということ。城野団地は、これまで大掛かりな修繕工事などがあまりなく、竣工当時の造作収納など残っていました。食器棚や傘立て、ドアノブなど、昭和30年代の名残りが散りばめられていて、全部を取り払ってゼロからやり直すのはもったいない。できるだけ既存のいいところを生かしつつ、暮らしのバリエーションを提案する。それが各チームに共通の思いでした。

そんなリノベーションプランの中から、今回はらいおん建築事務所がデザインしたプランを、できたてのモデルルームと共にいち早くご紹介します。対象となった住戸は、階段室型住棟の1LDK、2DK。それぞれ暮らし方の異なる3つのプランとなっています。

ダブルルームプラン(2DK)/36.54平米

食器棚はそのまま残し、真っ白に塗りあげたダブルルームプラン。個室は2室。それぞれオープンなクローゼットがついています。

ダイニングルームと2つの個室があるプラン。ダイニングルームはレトロな食器棚付き。2つの個室は、友人とルームシェアもOK、寝室と趣味部屋を分けてもOK、もちろんダイニングと分けた落ち着いたリビングとしても使えます。

ハーフドマプラン(1LDK-B)/37.85平米

フローリングと土間が半分に分かれたハーフドマプラン。ステンレスのフレームキッチンが映える、シンプルな空間。

玄関から南北につながる広々とした土間が魅力のプラン。ワンルームの空間を自由自在に使いこなしながら住むことができます。土間は仕事場にも、趣味を楽しむ場にも使え、生活の自由を受け入れる空間です。

カウンターキッチンプラン(1LDK-C)/37.85平米

対面式のカウンター付きキッチンで、料理をつくるのも食べるのも楽しいプラン。カウンターをダイニングテーブルとして使えばリビングが広く取れ、寝室と一体的に使うこともできます。

キッチンと一体となったダイニングカウンターがあるプラン。料理が好きで、ホームパーティーが大好きな夫婦にぴったり。キッチンは掃除しやすい床仕上げになっていて、ベランダも洗濯機から近いので、家事が楽になるプランです。

以上、今回は3つのプランをご紹介しましたが、実はまだ全体の半分です。次回はOpen Aがデザインしたテラスハウスを含む3つのプランをご紹介します。

モデルルームを一足先に見せちゃいます!

住みたい人も、ただ見てみたい人も、誰でも気軽に城野団地をご覧頂けます!

来たる8月22、23日の2日間、募集開始に先立ってモデルルームを公開します!
そして8月21~24日は、北九州家守舎が企画・運営に関わっている「リノベーションスクール@北九州」の開催期間中でもあるので、Open Aの馬場正尊、らいおん建築事務所の嶋田洋平さんなど、城野団地プロジェクトの中心メンバーが登場。リノベーションスクールは、魚町銀天街中屋ビルで開催です。興味のある方は、こちらのトークイベントもぜひチェックしてみてください。

■城野団地リノベーション モデルルーム公開!

日程:2014年8月22日(金)・23日(土)
※詳細は後日、リノベーションスクール@北九州のホームページにて掲載予定。
会場:城野団地モデルルーム
住所:北九州市小倉北区城野団地 (MAP
料金:無料
申込:不要
お問い合わせ先:北九州家守舎(担当:中里) 050-3435-0190(平日9:00〜18:00)

関連リンク:
城野団地 UR団地の新しいカタチ(公式HP)

リノベーションスクール@北九州