

そんな女性が住みたくなるのは、どんな団地なのだろう?
等身大の目線から団地を見つめ直し、気になる所を集中的に改善、生まれ変わらせる。
そんな試みからつくられた部屋を、募集スタートより一足早くレポートします。

団地というイメージを一新するインテリア。こちらは単身女性向けの部屋。
働く女性が住みたくなる団地。
そんなテーマで、実験的につくられた部屋ができたと聞いて、現地を見に行ってきました。
場所はこのサイトでも以前から紹介している「葛西クリーンタウン」。
荒川が東京湾へと注ぐ河口のあたりにある、UR賃貸住宅です。
新しい試みとして、UR都市機構の内部でも注目度が高いというこのプロジェクト。
一般での募集開始より一足早く、生まれ変わったインテリアを紹介します。

こちらは夫婦向けにつくられた部屋。雰囲気良く生まれ変わってます。
単身向けと、夫婦向けの2タイプがつくられた今回の企画。
どちらも“働く女性の目線”で考えられているということが共通点です。
さらに、このプロジェクトで特徴的なことがもう一つ。
それは、実際にプランを考えたのも4人の若い女性スタッフだということ。
「自分が住むとしたら」というリアルな視点で考えられ、つくられているのです。

単身向けタイプの水回り。洗面所の壁にはモザイクタイル。
葛西クリーンタウンは、1980年代中頃に建てられた団地。
築30年前後ということで、すっごく古いわけでもないですが、UR賃貸住宅の中でも古い方の団地です。
そんな団地の部屋を“若い女性”目線で改めて見ると……。
どうやら、気になったのは二つの点。「水回りの清潔感」と、「収納の使い勝手」。
ということで、今回はここに集中して改装プランが考えられました。

こんなタイルのキッチンだったら、思わずうれしくなってしまうかも。夫婦で楽しく料理ができそう。
まずはこちらの物件。
「二人の“おうち時間”を大事にしたい。週末は夫婦で料理の腕を磨いています。」
そんな共働きの夫婦を想定してつくられたという部屋。
まず目を引くのがキッチンのタイル。
賃貸でこんなデザインになっていたら、かなりポイント高いのでは?
団地じゃなくても、これはうれしくなってしまいます。
明るい時間から、夫婦で仲良く料理をする絵が目に浮かぶよう。

基本的な間取りはそのままに、水回りと和室の収納を重点的に改装しました。
バスルームは、壁が白、床が濃いグレーで、それぞれタイル貼り。パリッと爽やかな空間になりました。
気になっていた和室の押入れも、ゆったりした奥行きはそのままに、クローゼットに変えられています。
畳の縁も明るい色で整え、フローリングの雰囲気に近づけた和室は、ベッドを置いても違和感なし。
今の生活にもなじむデザインになりました。

単身女性向けのキッチンはカウンターをつくって、見せたくないあれこれを隠せるように。
「彼や友達を呼べる」部屋、そして「アクティブもまったりも」どちらも楽しめる部屋。
それが単身女性向けモデルのテーマです。
元はバス、トイレ、洗面が一つになった、いわゆる「3点ユニット」が入っていたこの部屋。
それを3つ別々のスペースに。洗面台はゆったり、壁のモザイクタイルもいい雰囲気です。
もちろん、トイレと浴室は別で。洗濯機までもがうまく納まっているのが、ちょっとびっくり。
ただし、浴室はバスタブなしのシャワーのみ。
それでもトイレと一緒の「3点ユニット」だけはイヤ。というのが女性の気持ちなのでしょう。
シャワールームには、腰掛けとオーバーヘッドシャワーも付いた仕様になっています。

キッチンにはカウンターをつくり、和室を洋室に。水回りも限られたスペースでうまく改装されています。
実は、今回の部屋が生まれるきっかけになったのは、「若手チャレンジプロジェクト」と呼ばれる企画。
URの若いスタッフが部署の枠を越えてチームをつくり、考えたアイデアを実際に形にしてみる。
そんな企画の中から、特に評価が高かったこの案が、実際に物件として世に出ることになったのです。
この団地がつくられた時代、日本中の大きな都市では住宅不足が問題になっていました。
そしてそれを解決するために、たくさんの団地が建設されていきます。
当時は、全国の町や村から集まった、働き盛りの世代が住む場としてつくられた団地。
でも今では、お年寄りから若者まで、シングルからファミリーまで、いろいろな人たちが住んでいます。
つまり、それぞれの人たちが求めるデザインや仕様の部屋が、用意されている必要があるはずです。
団地にそんな多様性が生まれる第一歩が始まりそうな予感。
これからも注目してみたいプロジェクトです。