text= 大我さやか(OpenA ltd.)

アーティストの住む団地


2011年のオープンスタジオでは「団地を掘り下げる」というテーマで、本当に団地の地面を掘り下げてしまった東京芸術大学・佐藤時啓研究室の「地下メラ(ちかめら)」。

取手井野団地には、芸大生やアーティストもちらほら住んでいます。
井野団地に暮らしているアーティストのほか、近隣市町村に暮らすアーティストも井野アーティストヴィレッジに所属し、アトリエで実制作を行なっています。
彼らの活動ジャンルは、平面作品から立体、映像、音楽、ミクストメディア、プロジェクト型までさまざま。

井野アーティストヴィレッジという団地の中のアーティストインレジデンスは、2007年に誕生しました。
井野団地の敷地内にある、空家になって寂れた長屋の店舗付き住居を、取手市と共同で一棟まるまるアーティストのアトリエに改修。
ここは住まないことを条件に、2階建ての店舗付き住居がシェア形式で貸し出されています。

「1階は大型作品を制作するアトリエとして使っている人もいれば、
2階の2間を2、3人でシェアして、ドローイングや音楽系の創作活動で使っている人もいます」

実は、今1室空きがあるとのことで、入居アーティストを絶賛募集中です(2012年3月30日時点)。
スタジオ(1、2階セット)は家賃6.35万円〜なので、6人でシェアすれば一人1万円。しかも敷礼なし。
団地には4万円以下で住める住戸もあるので、5万円前後で住む場所とアトリエが手に入っちゃう。
定期的にオープンスタジオやイベントを行っており、自分の作品を発表したり見てもらう場にもなるのです。

井野アーティストヴィレッジの情報はこちら。
http://inoav.org/iav/

若手だけでなく、ポストペットなどで知られるメディアアーティストの八谷和彦さんなど、ビッグネームも実は井野アーティストヴィレッジを使っているそう。
「将来有望な若手アーティストもいて、彼らと同じ環境で活動できる場はかなり刺激になると思います」

団地の中心にもかかわらず寂れてしまった商店街をアーティストに開放することで、
シャッター街からアートのある風景に変わったのです。

アートと団地の日常。


桜がみえるお部屋にお住まいの羽原さん。窓からは間近に満開の桜並木!

TAPが団地内に拠点を構えると同時期に、取手井野団地に住み始めた羽原さん。
保育園のお子さんを抱えた子育て世帯ですが、団地はずいぶん住みやすいそうです。
「結構気にいっているのは、棟の配置がランダムで、棟同士が近くても結構視界が抜けて気持ちがいいことです。
子供と目の前の公園で遊べるし。小学校や保育所も近く、敷地内には診療所もあります。
部屋の目の前は桜並木で、春は家の中から花見が楽しめちゃいます。」
子育てとともに、羽原さんは日々TAPの活動を続けています。