text= 大我さやか(OpenA ltd.)
羽原さんが日々TAPの活動拠点としているのが、「いこいーの+Tappino」というコミュニティカフェ。井野団地内にある。


いこいーの+Tappinoで開催されている、ボイスパフォーマー・徳久ウィリアムさんの健康になる呼吸法を教えるワークショップ。

いこいーの+Tappinoは、団地内の人々はもちろん、周辺の住民など、誰もが集える気軽なカフェ。
団地のボランティアスタッフが運営し、子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで、
いろんな世代が集まっておしゃべりしたり、遊んだり、立ち寄って休憩できる、
団地のコミュニティースペースのような場所です。

アートイベントも定期的に開催しています。
今は定期的に4組のアーティストが通ってきていて、月1でイベントを行なったり、いこいーのに滞在して住民とのやりとりからプロジェクトを進めたり。
たとえば団地のあちこちにあるフェルトの文字。
これもイベントのひとつ「ちくちく地区」という宮田篤さんの作品。団地内の文字を切り取って子供たちと縫うワークショップで作られたものだそうです。
またボイスパフォーマー・徳久ウィリアムさんの呼吸法を教えるワークショップは、実は高齢者に大人気のイベント。

団地に住みながら、日々アートを通じて団地の住民同士のコミュニケーション、住民とアーティストの交流と活動を支える仕事をしている羽原さん。
TAPの活動から得られることも多いそう。

「子育てを終えた世代の方などとてもよくしてくださいます。イベントで子供の面倒が見れないときなど、自然と子供の相手をしてくれたり。TAPを通して知り合いが増えて、子育てにはなにかと助かってます」
いこいーの+Tappinoにも、子育てママもちらほら通ってきてくれているそうで、たまにママさん同士の井戸端会議の場になっていることも。


自治会と協力して開催した盆踊り大会。「井野団地音頭」をみんなで踊ってます。

「ここにいて面白いのは、いままで自分が関わりを持たなかった世代や人と交流が持てることです。おばあちゃんが手作り料理を持ってきて置いて行ってくれたり、全然知らない言葉の語源とか、団地の昔話とかを教えてくれたり。仕事の途中でもついつい話し込んでしまうくらい。
頭がカタイのではというそれまでの高齢の方のイメージがガラガラと崩れていっていますね。アートに対してもかなり柔軟で、面白ければ面白い!と言ってくれるし、つまらなくてもそれを温かく見守ってくれます(笑)。
カフェを日常的に利用してくださる方や、イベントに来られる方など様々ですが、その中でアーティストがいままでなかったつながりをつくっているように思います。住んでいる場所にアーティストが飛び込むことで、日常的に人のつながりを動かせるんだな、と。これまで以上にこの場所をいろんな世代の方が共有して、一緒に過ごせる場になっていってほしいと思います」

進化する団地ーダンチ・イノベーター募集!


団地をフィールドに、団地を面白く変えるイノベーターズを大募集中!

この春、井野団地ではまた新たなムーブメントが始まります。

Open A・馬場正尊とTAPとが手を組み、
「アートのある団地」をテーマに、団地の中に点在する空き家や公園などの共用部、棟と棟のスキマ、団地の壁など、団地の空地をリ・デザインするプロジェクトを展開します。

団地の空地が変わることで、団地はどれだけ変われるのか?
住んでいる人と関わり、機能するなんらかの仕掛けのアイデアを募り、イノベーター7名を選出して、団地をフィールドにそのアイデアを展開していきます。

まさに団地を使った広大な社会実験!

現代美術から建築、デザイン、工学、教育、福祉、社会学。専門ジャンルは問いません。
団地を面白くするアイデアをお持ちの方は是非応募してみてはいかがでしょうか?

詳しくはこちら。
http://www.toride-ap.gr.jp/news/?p=372

団地を面白く住みこなす。
日々団地と関わり、人とのつながりや価値観を変えていく、TAPや羽原さんの活動は、
全く新しい団地の住まい方といえるのではないでしょうか?

取手アートプロジェクト
http://www.toride-ap.gr.jp/

(取材協力=取手アートプロジェクトオフィス)