text= 編集部/photo= 平野 愛(FLAT-FIELD PHOTO STUDIO) ※図版キャプションにクレジット記載のあるもの以外すべて

座談会は大阪・森之宮団地敷地内にあるUR西日本支社にて行われました。森之宮団地についてはコチラ

◆20代女子の目から見た団地の魅力とは?

馬場:今の自己紹介からもわかるとおり、30代から40代の僕らにとっては、ほぼ団地というのはリアルだったりノスタルジーだったりするんだけど、そうではない20代の大我さんからすると、団地のどのあたりにハマるわけ?

大我:ワタシの場合、ひとつは建築的な部分ですね。スターハウス、何この形! みたいな。
あとは緑が豊かで、いろいろ自由にできる場所が多いところかな。

馬場:自由にできる?

大我:「玄関を出てもすぐ街じゃない」じゃないですか。まだ自分の庭のようなところが続いている。そういった半プライベートの感覚で出歩ける場所があるところが。

馬場:安心感があるわけか。


馬場「20代の若者は団地のどんなところにハマるわけ?」

大我:マンションだと隣の人がどういう人か、っていうことはほとんどわからない。でも団地に行くと、ちょっと話し込んでいる人がいたり、商店街のおばちゃんがいたり。コミュニティー的な視点で見ると、安心して住むことができる場所なんじゃないかと。

馬場:そういう点は若い人にとっても魅力なの?


さまざまなタイプの団地。左:スターハウス 右上:階段室型 右下:ボックスタイプ (写真=編集部)

大我:大学で田舎から出て来て、まだ都会のルールもわからないときだったりすると、親切に教えてくれたり聞ける人がいるとすごく安心するというのはありますね。

岩田:私は以前、階段室タイプの団地に住んでたんですけど、あれって、結構家の外の音が聞こえるんですよ。歩いている音とか話している音とか。あと、階段室でまとまっている世帯が、なんとなくひとつのグループみたいになっていて、同じ階段室に住んでる人達が気にかけてくれたりしていた。おばちゃんがうちの子にいつもお菓子くれたり、なんとなく見ててくれたりとか。そういうのがイヤな人もいるかもしれませんが、僕なんかは、これはこれで良いな、と思ってましたね。

大我:ワタシ、最近までルームシェアしていたんですけど、若い人で、プライベートの時間に外で友達と会う以外に、家に誰か人がいる環境の方が落ち着くという人は意外に少なくないと思います。親元を離れて住んでると特に、近くに誰かがいる環境の方が最初はいいんですよね。


大我:「ワタシみたいに大学で田舎から出て来た人間にとっては、団地はすごく安心して住むことができそう、という印象」

◆団地の誇れる財産、「おばちゃん」

小正:URの団地だと、とにかくわからないことがあったら、管理事務所のおばちゃんに聞きに行ったら教えてくれるのでものすごく助かった、という住民さんの話はよく聞きますよね。

大我:管理事務所の周りってだいたいつも誰か人がいますもんね。

岩田:管理事務所のベテランのおばちゃん、それから清掃のおばちゃんも、団地の中のことを本当によく知ってますよね。

小正:僕の知っている人の中に、管理事務所にいつもお花置いてくれる掃除のおばちゃんがいらっしゃいますよ。「苦情言いに来た人がいても、これで和んでくれたらええよなあ」って(笑)。

岩田:分譲マンションの管理人さんとかだとドライでクールなイメージがあるけど、団地の管理事務所のおばちゃんらは、どこかほんわかしてるからなあ。

小正:なんとなく安心感があるんですよね。

僕は管理事務所のおばちゃんにいつもお世話になっていたので、今でも行くと「コマサさんちょっと休憩していき~」って必ず声をかけてもらいます。それで、お茶飲みながら四方山話しして、仕事の話をして。管理事務所のおばちゃんやお掃除のおばちゃんは、ある意味団地のコミュニティー形成においては実はすごく重要な役割を果たしているんでしょうね。


小正「管理事務所や掃除のおばちゃんが団地に果たしている役割は大きいのだと思います」