「団地設計とは環境をつくることである」
まさに、ボクらが今、なぜ団地を愛してやまないのかを、ひとことで表わした言葉です。
昭和30年代団地の設計思想の根底を支えていたこの言葉に、当時の団地づくりにかける熱い思いを見ることができます。
この思想のもと、それぞれの設計者が、団地という当時先駆的だった空間づくりに挑んでいったわけですが、その中で30年代の団地設計には、その考え方の違いによって7つの「流派」が生まれたとされています。
それぞれの流派の代表的な団地と概略は、こんな感じです。
・生活派 (草加松原団地、明神台団地、武里団地)
居住者の生活パターンを想定して、その解析を通じて設計のテーマを見つけよう、という流派。
・風土派 (多摩平団地、前原団地、高根台団地)
敷地が持つ風土や地形からデザインのテーマを見つけようとした流派。
・物理機能派 (霞ヶ丘団地、上野台団地)
日照条件、経済条件、施設量などの物理的要因に重点をおいた流派。日照派とも呼ばれる。現実的。
・幾何学派 (赤羽台団地、東久留米団地、豊四季団地)
造形的な設計方法を重視する流派。住棟を要素として捉えて、それを幾何学的に配置する、という感じ。
・自然派 (ひばりヶ丘団地、久米川団地、香里団地)
風土派と物理機能派の中間を目指した流派。自然に逆らわず、機能も犠牲にしない、秀才タイプ。
・未来派 (実例なし)
幾何学派と生活派の中間を目指した流派。科学的な分析と、幾何学的な造形によって造られる未来。
・しあわせ派 (千草台団地、花見川団地)
なんと、上の6つ全部の中間を目指してしまった流派。個性や造形性よりも、調和とバランスを何よりも重んじる優等生。
みなさんは、どの流派の団地がお好きでしょうか?
名前的には、「未来派」、「しあわせ派」あたりが目を引きますね。
ら行
2012年9月11日