団地の基礎知識

平行配置

2012年9月25日

住棟を文字通り平行に配置するという手法。

全ての住戸への日当たりを均一にするのが一番の目的ですが、車の通る道路を住棟と直交方向にすることで、住棟間を歩行者空間や庭などにできるという意味でも、優れていると考えられました。

また、考え方の根底には、公的な住宅は住む人の特定ができないので、均質な空間にするべきだという思想があったようです。

ただ、出来上がる空間が無機質な印象になることもあり、昭和40年頃からは平行配置を脱却することが模索され始めたようです。

囲み配置

2012年9月25日

緑地などを囲むように住棟を配置して、空間を分節化することで、庭のような空間を作る配置の手法。

空間に変化をつけたり、庭のように豊かな空間を作ることを目的にすると同時に、囲まれた空間によってコミュニティの単位を明確にして、コミュニティを育みやすくするという目的もありました。

直線的な配置や、直角による配置は緊張感があるため、それを避けることも同時に考えられることが多かったようです。

流派

2012年9月11日

「団地設計とは環境をつくることである」

まさに、ボクらが今、なぜ団地を愛してやまないのかを、ひとことで表わした言葉です。

昭和30年代団地の設計思想の根底を支えていたこの言葉に、当時の団地づくりにかける熱い思いを見ることができます。

この思想のもと、それぞれの設計者が、団地という当時先駆的だった空間づくりに挑んでいったわけですが、その中で30年代の団地設計には、その考え方の違いによって7つの「流派」が生まれたとされています。

それぞれの流派の代表的な団地と概略は、こんな感じです。


・生活派 (草加松原団地、明神台団地、武里団地)
居住者の生活パターンを想定して、その解析を通じて設計のテーマを見つけよう、という流派。


・風土派 (多摩平団地、前原団地、高根台団地)
敷地が持つ風土や地形からデザインのテーマを見つけようとした流派。


・物理機能派 (霞ヶ丘団地、上野台団地)
日照条件、経済条件、施設量などの物理的要因に重点をおいた流派。日照派とも呼ばれる。現実的。


・幾何学派 (赤羽台団地、東久留米団地、豊四季団地)
造形的な設計方法を重視する流派。住棟を要素として捉えて、それを幾何学的に配置する、という感じ。


・自然派 (ひばりヶ丘団地、久米川団地、香里団地)
風土派と物理機能派の中間を目指した流派。自然に逆らわず、機能も犠牲にしない、秀才タイプ。


・未来派 (実例なし)
幾何学派と生活派の中間を目指した流派。科学的な分析と、幾何学的な造形によって造られる未来。


・しあわせ派 (千草台団地、花見川団地)
なんと、上の6つ全部の中間を目指してしまった流派。個性や造形性よりも、調和とバランスを何よりも重んじる優等生。


みなさんは、どの流派の団地がお好きでしょうか?
名前的には、「未来派」、「しあわせ派」あたりが目を引きますね。

4時間日照

2012年9月11日

文字通り、住戸の居室部分に当たる日照を4時間以上にしよう、という設計の指標。
ただし、4時間というのは冬至の日に当たる日照が基準になってます。

初期の公営住宅や公団住宅の設計要領で、この4時間日照が定められたこともあって、その後、住宅設計の一般的な基準として定着しました。

特に団地では、この4時間日照が確保できる住棟の配置であれば、必然的にプライバシーや、開放性、通風なども確保できるとして、住宅の性能確保の代表的な指標とされたそうです。